まずはおつかれさまでしたと声をかけたい。
☆「わが柔道人生に悔いなし」井上康生、正式に引退表明(2008.5.2 iZa)
2000年シドニー五輪柔道の金メダリストで、北京五輪代表を逃した井上康生(29)が2日、所属する東京都港区の綜合警備保障本社で記者会見し、引退を表明した。
井上は「わが柔道人生に悔いはなしという気持ち。柔道家として、井上康生として皆さんに愛され、友人、家族らに支えられて本当に幸せ者だったと思う」と話した。
井上は1996年、17歳で全日本選手権に初出場し、シドニーでは100キロ級で金メダルを獲得。01年から全日本選手権を3連覇。世界選手権も1999年からV3で、日本柔道界のエースとして活躍した。04年のアテネ五輪で敗れたことをきっかけに、100キロ超級に転向。05年1月の右胸の大けがからは再起したが苦戦が続き、4月29日の全日本選手権では準々決勝で敗れ、3大会連続五輪出場はならなかった。
井上康生といえば、やはり、8年前のシドニーオリンピックでのオール1本勝ち金メダル獲得が印象深い。
なかでも、決勝戦で繰り出した得意の「内股」は、そのスピードと美しさで、「これこそが柔道」を世界中に強烈に示した一戦として長く歴史に残るだろう。
ポイント狙いのレスリングまがい柔道(タックルを多用するなど)が、ヨーロッパ勢を中心として横行しているなか、切れとスピードの投げ技で「常に一本を狙う」彼の柔道スタイルは爽快ですらあった。
それだけに、その後のアテネオリンピックでの敗退や大怪我など、彼を襲った挫折・不運は、栄光との落差があまりにも大きく、みていて痛々しいものがあった。
しかし、彼は自らの信念を貫き、3度目のオリンピックを目指したわけだ。
そして、4月29日の全日本選手権では、一本を取るべく仕掛けた「内股」を返されて敗北となった。
この敗北のシーンもまた、柔道ファンの記憶に永久に残るだろう。